内視鏡検査大腸癌
大腸がん初期症状を見逃さないための完全ガイド〜専門医が警告する5つのサイン

大腸がん初期症状の重要性と見逃しやすさ
大腸がんは日本人において最も患者数が多いがんの一つです。50歳代から増加し始め、高齢になるほど罹患率が高くなる傾向があります。男性は女性の約2倍の罹患率・死亡率を示しており、特に注意が必要です。
大腸がんの恐ろしさは、初期段階ではほとんど自覚症状がないことにあります。
私は消化器内視鏡専門医として数多くの大腸がん患者さんを診てきましたが、早期発見できた方とそうでない方の予後には大きな差があります。早期に発見できれば内視鏡治療だけで完治する可能性が高い疾患なのです。
しかし残念なことに、多くの患者さんは症状が現れてから来院されます。その時にはすでにがんが進行していることも少なくありません。
「何か変だな」と感じたときには、すでに体はSOSを出しているのです。
大腸がんの5つの初期サイン
大腸がんの早期発見のために、以下の5つのサインに注意しましょう。これらの症状が単独で、あるいは組み合わさって現れることがあります。
一見すると他の病気と区別がつきにくいため、持続する場合は専門医の診察を受けることが重要です。特に40歳を超えたら、これらの症状には敏感になるべきでしょう。
1. 血便・下血
最も注意すべき症状は血便や下血です。便に血が混じる、便の表面に血液が付着するといった症状が見られます。
「痔だから大丈夫」と自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。
特に鮮血が混じる場合は直腸や肛門に近い部分のがんの可能性があり、暗赤色の血液が混じる場合は大腸の奥の方にがんがある可能性があります。
2. 排便習慣の変化
便秘と下痢を繰り返す、便が細くなる(狭小化)、便が残る感じがするなどの症状も要注意です。
これらは腫瘍が大腸内腔を狭くすることで起こります。特に便の形状が鉛筆のように細くなった場合は、大腸の狭窄を疑う必要があります。
「最近、便秘と下痢を繰り返すな」と感じたら、それは体からの重要なメッセージかもしれません。
3. 原因不明の貧血
特に右側結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸)のがんでは、腫瘍からの少量の出血が長期間続くことで貧血を引き起こすことがあります。
めまいや疲れやすさを感じるようになったら、貧血の検査と同時に消化管からの出血も疑う必要があります。
右側結腸のがんは症状が出にくく、進行するまで気づかれないことが多いのです。
4. おなかの張りや不快感
腹部膨満感や漠然とした不快感も初期症状として現れることがあります。
特に食後に増強する腹部の張りや、いつもと違う不快感が続く場合は注意が必要です。
これらの症状は他の消化器疾患でも起こりますが、持続する場合は大腸がんの可能性も考慮すべきです。
5. 原因不明の体重減少
食欲不振や体重減少も大腸がんの症状として現れることがあります。
特に意図せず短期間に体重が減少した場合は、何らかの重大な疾患が隠れている可能性があります。
「ダイエットしていないのに痩せた」という場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
大腸がんの部位による症状の違い
大腸がんの症状は、がんの発生部位によって異なる特徴を示します。この違いを理解することで、より早期の発見につながる可能性があります。
大腸は大きく結腸と直腸に分けられ、結腸はさらに盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。それぞれの部位によって現れやすい症状が異なるのです。
右側結腸がんの特徴
盲腸、上行結腸、横行結腸などの右側結腸にできるがんは、便がまだ水様で固まりきっていないため、腸閉塞などの症状が出にくいという特徴があります。
そのため、進行しても腹部症状が目立たないことが多く、貧血や腹部のしこりといった症状で発見されることがあります。
右側結腸がんは「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、発見が遅れがちなので注意が必要です。
左側結腸・直腸がんの特徴
下行結腸、S状結腸、直腸などの左側結腸にできるがんは、便が固形化している部分を通過するため、便の通過障害による症状が出やすくなります。
便秘や下痢の繰り返し、便の狭小化、血便などの症状が比較的早期から現れることがあります。
特に直腸がんでは、鮮血便や残便感といった症状が特徴的です。肛門に近いがんほど早期に血便などの症状が現れやすいと言えます。
大腸がんのリスク因子と予防法
大腸がんの発症には様々なリスク因子が関わっています。これらを理解し、適切な予防策を講じることが重要です。
リスク因子を持っている方は特に注意が必要ですが、定期的な検診を受けることで早期発見・早期治療が可能になります。
主なリスク因子
大腸がんのリスク因子として認められているものには、家族歴、過体重と肥満、飲酒や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の多量摂取などがあります。
特に第一度近親者(親、兄弟姉妹、子)に大腸がんの既往がある方は、一般の方よりもリスクが高くなります。
また、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)や家族性大腸腺腫症、リンチ症候群などの遺伝性疾患がある方も大腸がんのリスクが高いことが知られています。
効果的な予防策
大腸がんを予防するためには、生活習慣の改善が重要です。具体的には以下のような対策が効果的です。
適度な運動は大腸がんのリスクを下げることが分かっています。週に150分程度の中等度の運動を心がけましょう。
食生活では、野菜や果物、全粒穀物を多く摂り、赤肉や加工肉の摂取を控えることが推奨されます。特にブロッコリーやキャベツなどの野菜は大腸がん予防に効果的という研究結果もあります。
また、禁煙や適度な飲酒も大腸がん予防に重要です。アルコールの過剰摂取は大腸がんのリスクを高めることが知られています。
大腸がん検診の重要性と方法
大腸がんは早期発見できれば治癒率が高い疾患です。そのためには定期的な検診が欠かせません。
日本では40歳以上の方に年1回の便潜血検査による大腸がん検診が推奨されています。この簡単な検査が命を救う第一歩となるのです。
便潜血検査
便潜血検査は、大腸内の微量な出血を検出する検査です。安全で簡単、そして安価な検査方法として広く普及しています。
検査では2日間に分けて便の採取を行い、目に見えない微量の血液を検出します。陽性になった場合には、その原因を明らかにするために精密検査を受けることが必要です。
便潜血検査が陽性になった人の約25〜30人に1人に大腸がんが診断されるというデータがあります。見逃さないためにも、陽性結果が出たら必ず精密検査を受けましょう。
全大腸内視鏡検査
全大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、がんやポリープに対する診断精度が非常に高い検査法です。精密検査として第一に推奨されます。
近年は技術の進歩により、苦痛の少ない検査が可能になっています。当院でも「眠ってできる内視鏡検査」を提供し、患者さんの負担軽減に努めています。
アメリカでは10年に1度の内視鏡検査を受けた50歳以上の人が過半数に達し、その結果大腸がん死亡率が減少してきたという報告もあります。
内視鏡検査では、同時に小さなポリープを切除することも可能です。早期がんであれば、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった日帰りでの治療も可能な時代になっています。
大腸がんを疑ったらどうすべきか
大腸がんを疑う症状がある場合、まずは消化器内科や胃腸科、肛門科などの専門医療機関を受診しましょう。
症状を我慢したり自己判断したりせず、早めに医師に相談することが何よりも大切です。
受診の目安
以下のような症状が2週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
血便や下血、便秘と下痢の繰り返し、便の形状の変化、腹部の不快感や痛み、原因不明の貧血や体重減少などが当てはまります。
特に50歳以上の方や、大腸がんの家族歴がある方は、症状がなくても定期的な検診を受けることが重要です。
診断から治療までの流れ
大腸がんの診断は、問診・触診から始まり、便潜血検査、内視鏡検査、必要に応じてCT検査などが行われます。
内視鏡検査で組織を採取し、病理検査でがんと確定診断されれば、がんの深達度やリンパ節転移の有無などを調べて治療方針を決定します。
早期がんであれば内視鏡治療、進行がんであれば手術、化学療法、放射線療法などを組み合わせた治療が行われます。
大腸がんは早期発見・早期治療ができれば根治が期待できる疾患です。定期的な検診と症状への注意が、あなたの命を守る鍵となります。
まとめ:早期発見が大腸がん治療の鍵
大腸がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な検診が非常に重要です。40歳を過ぎたら年に1回の便潜血検査を受け、陽性であれば必ず精密検査を受けましょう。
血便・下血、排便習慣の変化、原因不明の貧血、おなかの張りや不快感、原因不明の体重減少といった症状に気づいたら、早めに専門医に相談することが大切です。
当院では消化器内視鏡専門医による質の高い内視鏡検査を提供しています。2024年には大腸内視鏡検査を1,884件実施し、54名の大腸がん患者さんを発見しました。早期発見できれば内視鏡治療だけで完治する可能性が高いのです。
大腸がんは決して怖い病気ではありません。早期に発見し、適切な治療を受ければ治る病気です。ご自身の健康を守るため、定期的な検診を習慣にしましょう。
気になる症状がある方、検診をご希望の方は、ぜひ浜野胃腸科外科医院にご相談ください。あなたの健康を守るお手伝いをさせていただきます。

