Gastric cancer 胃癌
①日本における胃癌の現状
日本は胃癌大国と言われ、胃癌罹患数は年間10万人を超えています。
死亡数については1970年代までは年間おおよそ5万人の方が亡くなっていました。
しかし、内視鏡検査の発達による胃癌の早期発見率の向上より、罹患数は増えたものの、死亡数は年々減少しています。
それでもなお、年間約4万2千人の方が胃癌により命を落としており、癌死亡数のうちで胃癌は男性では2番目に、女性では4番目に、男女合わせて3番目に多い疾患となっています。
②胃癌の原因
胃癌の主な原因は、ヘリコバクターピロリ菌による長年の慢性胃炎によるものということがわかっています。ピロリ菌が関与しない胃癌は、胃癌のうち1%未満と言われています。それくらい胃癌とピロリ菌の関係は強いものなのです。
③胃癌の症状
どの臓器の癌でも同様ですが、ほとんどの場合早期の癌に症状はありません。 胃癌の場合は進行してくると、胃のあたりの痛みや胃もたれ、食欲低下、体重減少、貧血、真っ黒な便の排泄、吐血などの症状、肝臓への転移による黄疸などの症状が現れてきます。
④胃癌の治療
治療は、いずれのステージでも入院が可能な医療機関での加療となります。 早期のなかでもリンパ節転移のないものは内視鏡的に切除します(ESD:内視鏡的胃粘膜下層剥離術)。リンパ節転移のリスクがある早期癌や進行癌はリンパ節郭清が可能な外科的手術となります。遠隔転移がある場合は外科的手術も難しく、抗癌剤治療の適応となります。
⑤ピロリ菌除菌治療と胃癌の関係
ピロリ菌の除菌が胃癌発生を抑制するとされていますが、除菌後でも胃癌は発生します。特に慢性胃炎により胃粘膜の萎縮が進んでしまった状態ですと、除菌治療をしても胃癌発生のリスクは大きくは抑制されないということがわかっています。
ピロリ菌は通常子供の頃に感染します。感染すると慢性胃炎が発症し、慢性胃炎罹患年数とともに、胃粘膜が萎縮していきます。この萎縮の程度が、その後の胃癌発生リスクと相関すると言われています。
つまり、萎縮が進む前の若いうちにピロリ菌を除菌しないと、胃癌の発生は抑制されないのです。
大切なことは、ピロリ菌を除菌した後も、胃癌の早期発見・早期治療のために定期的な内視鏡検診を受けていただくことなのです。
⑥胃癌の予後
癌は発見が遅くなればなるほど進行してしまい、命が助からない状態になってしまいます。つまり癌が見つかった時の進行度(ステージ)でその後の予後(どれくらい生きられるか)が決まります。
胃癌の場合、早期のstageⅠでみつかれば90%以上の方は胃癌で亡くなることは避けられますが、進行してしまったstageⅣで見つかった場合は90%以上の方がその後5年以内で亡くなってしまいます。
早期の状態で胃癌をみつけるために、定期的な内視鏡胃癌検診を受けましょう。そしてピロリ菌を除菌しても、「もう胃癌にはならない」と思わないでいただき、定期的な内視鏡胃癌検診を続けましょう。
⑦浜野胃腸科外科における胃癌発見率
2018年以降の当院における胃カメラ検査数と上部消化管(食道/胃/十二指腸)癌発見数をお示しします。
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
---|---|---|---|
胃カメラ 検査数 |
891 | 1147 | 1133 |
癌発見数 (発見率) |
10(1.1%) | 18(1.6%) | 19(1.6%) |
【早期癌/ 進行癌】 |
【5/5】 | 【11/7】 | 【12/7】 |
日本全国の胃癌検診からの癌発見率は0.12%です。当院の胃癌発見率は1%以上ですので、この値と比較すると非常に高いことがわかります。当院は消化器クリニックですので、胃癌検診の他にも有症状で検査を受ける方も多いため、癌発見率は高くなると考えますが、検査の質が確保されている結果とも考えています。
当院は「胃癌/大腸癌で亡くなる方をゼロにしたい」という目標に向かって、質の高い内視鏡検査を提供することを目指しています。症状がある方だけでなく、定期的な検査が必要と言われている方や八千代市の胃癌検診をご希望の方も、当院にご相談ください。