大腸癌
お腹が痛むときに考えられる原因について消化器内視鏡専門医が詳しく解説!
当院の消化器専門外来には腹痛でお悩みでお越しいただく方も多くいらっしゃいます。腹痛を感じる場合、その腹痛が生じている原因は非常に多岐にわたります。一見すると軽微な症状のように思えても、実は注意が必要なケースもあったりします。腹痛が生じている原因を正しく理解し、必要な対応を取るために考えられる要因や対策について今回は解説していきます。

お腹が痛い原因と特徴
お腹が痛い(腹痛)といっても考えられる理由は非常に多岐にわたります。以下に腹痛が生じる原因について記載をいたします。
1. 胃腸の病気
消化器系で異常が生じることで起こる腹痛は非常に一般的です。
- 胃炎・胃潰瘍
胃の粘膜で炎症が生じることで腹痛(胃痛・みぞおち付近の痛み)を感じるようになります。胃潰瘍では食後や空腹時に痛みが悪化することが特徴です。 - 過敏性腸症候群(IBS)
ストレスや食生活の乱れなどが原因となり、腸が過敏状態になることで腹痛が慢性的に続いてしまうことがあります。過敏性腸症候群が発症すると腹痛に加えて、下痢などの便通異常も一緒に発症することが多くあります。 - 急性腸炎
細菌やウイルスによる感染で腸で炎症を生じてしまう病気です。細菌感染することで腹痛が生じるため、急に腹痛が発症し、治療の経過とともに痛みの程度は落ち着いていきます。
2. 内臓疾患
胆のう、すい臓、肝臓などの臓器で異常が生じていることで起こる腹痛です。
- 胆石症
胆のう内に結石ができてしまうと胆汁が十分に排出がされなくなってしまい、その結果として右上腹部あたりに鋭い痛みを感じることがあります。 - 膵炎
すい臓は痛みを感じにくい臓器です。膵臓で炎症が生じてしまうと、上腹部の痛みや背中に痛みを感じることがあります。 - 肝疾患(肝炎・肝硬変)
肝臓もすい臓と同じで痛みを感じにくい臓器です。肝臓の病気が進行すると、右上腹部あたりに不快感や痛みを伴うことがあります。
3. 腸の病気
腸に異常が生じている場合、腹痛が断続的または慢性的に続くことがあります。
- 潰瘍性大腸炎・クローン病
国が指定している難病の一種ですが、潰瘍性大腸炎やクローン病が発症していると腸管に慢性的な炎症が生じてしまいます。腹痛が主症状となり、血便や下痢などの症状を併発することもあります。 - 虫垂炎(盲腸炎)
初期段階ではみぞおちやへその周辺に痛みを感じるようになります。時間の経過とともに右下腹部あたりにも痛みを感じるようになります。
4. 婦人科系の病気(女性の場合)
女性特有の原因で腹痛が続くこともあります。
- 子宮内膜症
子宮外に内膜組織が存在してしまうことで炎症や癒着を引き起こしてしまいます。生理時に下腹部あたりに痛みを感じることがあります。 - 卵巣嚢腫(のう腫)
卵巣に液体がたまってしまい、卵巣内に袋状の構造物ができてしまう病気です。下腹部あたりに違和感や鈍い痛みを感じることがあります。
5. 泌尿器系の病気
尿路で異常が生じているために腹痛を感じることがあります。
- 腎結石
結石が尿管で詰まってしまうことで生じてしまいます。側腹部から下腹部にかけて激しい痛みを感じることがあり、血尿も一緒に生じることがあります。 - 尿路感染症
尿路で感染症が生じると下腹部あたりに痛みを感じるようになります。特に排尿時に痛みを感じ、頻尿や発熱を伴うことがあります。
6. ストレスや精神的な要因
精神的なストレスや不安が原因となって腹痛が生じることがあります。
- 心身症(ストレス性腹痛)
ストレスが原因となって腸の動きに影響を与え、その結果として腹痛を引き起こすことがあります。検査を行っても異常が見つからない場合が多く、治療法としてはリラクゼーションやストレス解消が効果的となります。
病院を受診するべきタイミング
以下のような症状を伴う場合は、すぐに医師に相談する必要があります。
- 激しい腹痛が続く
- 腹痛が悪化している
- 腹痛に加えて、発熱・血便・黄疸・吐き気・体重減少などの他の症状を併発している
- 腹部が硬く腫れている感覚がある
- 排便や排尿時に痛みを感じる
- 痛みが突然始まり、耐えられないほど辛い
上記のような項目に該当される際は決して無視はせずに、お早めに消化器内科クリニックへ受診するようにしてください。
腹痛は消化器専門外来まで
「お腹が痛い」という症状は誰しもが経験をしたことがある症状かと思いますが、腹痛と言ってもその原因が非常に幅広く、自己判断で受診しないのは非常に危険です。ただの食あたりなどで腹痛が生じているのであればよいですが、消化管で異常が生じていたり、すい臓や肝臓などの病気で異常が生じている場合もあります。腹痛を感じたり、痛みが続く場合は、一度検査を受けていただくことを推奨しています。
当院では消化器領域のプロフェッショナルである消化器内視鏡専門医が多数在籍をしており、消化器疾患・症状でお困りの方へ丁寧な診察・各種検査を提供しています。女性の消化器内視鏡専門医も在籍をしており、女性医師も消化器外来から内視鏡検査も担当をしています。些細なことでも構いませんので、腹痛でお困りの方はお気軽にご相談してください。