大腸癌
消化器症状の受診目安チェックリスト〜放置すると危険な10のサイン
「最近、お腹の調子がよくないけど、病院に行くほどではないかな…」
このように思って、消化器の不調を放置していませんか?実は、消化器の症状は様々な病気のサインである可能性があります。早期発見・早期治療が重要な疾患も少なくありません。

消化器内科・内視鏡専門医として長年診療に携わってきた経験から、受診を検討すべき消化器症状の目安をお伝えします。この記事では、放置すると危険な10のサインと、それぞれの症状が示す可能性のある疾患について解説します。
消化器症状を放置するリスク
消化器の不調は「よくあること」と軽視されがちです。しかし、その背景には重大な病気が潜んでいることもあります。
消化器系の疾患は、初期段階では自覚症状に乏しいものが多く、症状が現れた時にはかなり進行していることも少なくありません。特に消化管(食道・胃・大腸)のがんは、早期発見・早期治療ができれば根治が期待できますが、進行すると治療が難しくなります。
当院では年間4,000件以上の内視鏡検査を実施していますが、2024年だけでも食道/胃がんを23名、大腸がんを54名発見しています。これらの多くは自覚症状がないか、あっても軽微なものでした。
あなたの体調不良は、単なる「胃腸の弱さ」ではなく、何らかの疾患のサインかもしれません。
では、どのような症状があれば受診すべきなのでしょうか?
受診を検討すべき消化器症状10のサイン
以下の症状が見られる場合は、消化器内科の受診を検討しましょう。特に複数の症状が組み合わさっている場合や、症状が長引く場合は要注意です。
1. 持続する上腹部痛・みぞおちの痛み
みぞおち周辺の痛みや不快感が2週間以上続く場合は、消化器内科の受診を検討すべきです。
このような症状は、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの可能性があります。また、胃がんが進行すると、みぞおち周辺の痛みや不快感、違和感として現れることもあります。
特に食後に痛みが強くなる、夜間に痛みで目が覚める、痛み止めが効かないといった場合は、早めに受診しましょう。
2. 原因不明の体重減少
ダイエットをしていないのに、急に体重が減少した場合は注意が必要です。
がんが進行すると、筋肉や骨を分解して栄養を吸い取ろうとするため、体重減少が起こります。また、消化器の不調で食事量が減ることも体重減少の原因となります。
特に3ヶ月間で体重の5%以上の減少がある場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。
3. 黒色便や血便
便に血が混じる場合は、消化管のどこかで出血が起きている可能性があります。特に注意が必要なのは黒色便です。
黒色便は上部消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血を示すことが多く、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、胃がんなどが原因として考えられます。
一方、鮮血が混じる場合は下部消化管(大腸・直腸・肛門)からの出血が考えられ、痔や大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患などの可能性があります。
鉄剤を服用している場合や、イカスミなど黒い食べ物を摂取した後に黒色便が出ることもありますが、心当たりがない場合は早めに受診しましょう。
4. 嚥下困難・食べ物の通りにくさ
食べ物を飲み込みにくい、胸につかえる感じがするといった症状がある場合は、食道の問題が疑われます。
これらの症状は、逆流性食道炎や食道がんなどの可能性があります。特に固形物が通りにくい、徐々に症状が悪化している場合は要注意です。
「歳のせいだろう」と放置せず、専門医に相談することをお勧めします。
5. 持続する胸やけ・呑酸
胸やけや酸っぱい液体が口に上がってくる症状(呑酸)が続く場合は、逆流性食道炎の可能性があります。
市販の胃薬で一時的に症状が改善しても、繰り返す場合は受診を検討しましょう。長期間放置すると、バレット食道という前がん状態を引き起こすこともあります。
夜間に症状が悪化する、横になると症状が出る、喉の違和感や慢性的な咳を伴う場合は特に注意が必要です。
緊急受診が必要な危険なサイン
以下の症状がある場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診してください。
6. 吐血・下血
口から血を吐く(吐血)、大量の血便がある(下血)場合は、消化管からの大量出血が起きている可能性があります。
吐血は食道、胃、十二指腸といった上部消化管からの出血を意味し、下血は消化管のどこかで出血が起きていることを示します。特に黒いタール状の便は上部消化管からの出血を示すことが多いです。
これらの症状がある場合は、出血性ショックに陥る危険性もあるため、救急車を呼ぶことも検討してください。
7. 激しい腹痛と硬い腹部
突然の激しい腹痛があり、腹部が板のように硬くなっている場合は、消化管穿孔や腹膜炎の可能性があります。
これは消化管に穴が開き、内容物が腹腔内に漏れ出している状態で、緊急手術が必要なことが多いです。
腹痛に加えて、発熱、冷や汗、嘔吐などを伴う場合は、すぐに救急外来を受診してください。
8. 嘔吐を伴う強い腹痛
強い腹痛と共に嘔吐が続く場合は、腸閉塞(イレウス)や急性膵炎などの可能性があります。
特に、腹痛が徐々に強くなり、嘔吐を繰り返す、腹部が膨満するといった症状がある場合は要注意です。
これらの症状は命に関わる可能性もあるため、迷わず医療機関を受診しましょう。
見逃しやすい要注意サイン
以下の症状は見逃されがちですが、重要な疾患のサインである可能性があります。
9. 慢性的な下痢・便秘の繰り返し
下痢と便秘を繰り返す、便通の形態が急に変わったといった症状は、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患、大腸がんなどの可能性があります。
特に40歳以上で便通の変化がある場合は、大腸がんのリスクが高まるため、大腸内視鏡検査を検討すべきです。
「ストレスのせいだろう」と自己判断せず、3週間以上症状が続く場合は専門医に相談しましょう。
10. 原因不明の倦怠感・疲労感
原因不明の倦怠感や疲労感が続く場合、肝臓や膵臓の疾患が隠れていることがあります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり進行するまで症状が出にくいという特徴があります。肝機能障害や脂肪肝、肝炎などが原因で倦怠感が生じることがあります。
また、膵臓の疾患でも全身倦怠感が現れることがあります。特に背中に回り込むような痛みを伴う場合は、膵炎や膵臓がんの可能性も考慮すべきです。
「単なる疲れ」と思わず、長期間続く場合は血液検査や画像検査を受けることをお勧めします。
消化器症状を感じたらどうすればよいか
消化器症状を感じたら、まずは症状の持続期間や程度を確認しましょう。一時的な症状であれば様子を見ても良いですが、以下のような場合は専門医の診察を受けることをお勧めします。
受診のタイミング
以下のような場合は、消化器内科の受診を検討しましょう:
- 症状が2週間以上続く場合
- 症状が徐々に悪化している場合
- 日常生活に支障をきたす場合
- 40歳以上で消化器症状が初めて現れた場合
- 家族に消化器のがんの既往がある場合
- 前述の「緊急受診が必要な危険なサイン」に該当する場合
特に「緊急受診が必要な危険なサイン」に該当する場合は、迷わず医療機関を受診してください。命に関わる可能性もあります。
検査の重要性
消化器の症状は、目に見えない内部で起きているため、適切な検査を受けることが重要です。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)は、消化管の状態を直接観察できる最も有効な検査方法です。特に40歳以上の方は、症状がなくても定期的な内視鏡検査を受けることをお勧めします。
当院では、眠ってできる内視鏡検査や、女性医師による女性患者向けの内視鏡検査など、患者さんの不安を取り除くための様々な工夫を行っています。
まとめ:消化器症状は体からのSOSサイン
消化器症状は体からのSOSサインです。「様子を見よう」と放置せず、適切なタイミングで専門医に相談することが、早期発見・早期治療につながります。
特に、持続する上腹部痛、原因不明の体重減少、黒色便や血便、嚥下困難、持続する胸やけ、吐血・下血、激しい腹痛、嘔吐を伴う強い腹痛、慢性的な下痢・便秘の繰り返し、原因不明の倦怠感・疲労感といった症状がある場合は、消化器内科の受診を検討しましょう。
消化管(食道・胃・大腸)のがんは、早期発見・早期治療ができれば根治が期待できます。質の高く苦痛の少ない内視鏡検査を定期的に受けることで、消化器がんの死亡率低下を目指しましょう。
あなたの健康は、あなた自身で守るものです。少しでも気になる症状があれば、ぜひ専門医に相談してください。
詳しい検査や治療についてのご相談は、浜野胃腸科外科医院までお気軽にお問い合わせください。八千代緑が丘駅から徒歩1分、24時間対応のWEB予約システムも完備しております。

