大腸癌
胃もたれ改善に効果的な食事方法〜消化器専門医が教える7つの対策

胃もたれの原因と症状〜なぜ食後に不快感が起こるのか
胃もたれは、食後にみぞおちのあたりが重く感じたり、膨満感や不快感を覚えたりする症状です。多くの方が経験したことのある症状ではないでしょうか。
食べ物が胃の中に長く残っているような感覚で、消化の悪いものを食べた後に起こりやすいものです。しかし、胃の機能低下や自律神経の乱れによっても引き起こされることがあります。
胃もたれの主な原因としては、以下のようなものが考えられます。
- 食生活の乱れ:食べ過ぎや飲み過ぎ、脂っこい食事、消化の悪い食べ物の摂取
- ストレス:精神的なストレスによる自律神経の乱れ
- 胃の機能低下:加齢や運動不足による胃の蠕動運動の低下
- ピロリ菌感染:胃炎や胃潰瘍の原因となるピロリ菌の存在
- 消化器疾患:慢性胃炎、機能性ディスペプシア、胃潰瘍など
特に朝に胃もたれを感じることが多いのは、前日の夕食を食べ過ぎたり、就寝直前に食事をしたりすることで、胃の中に食べ物が残ったままになっているからです。
胃もたれを改善する7つの食事法〜消化器専門医の視点から
胃もたれに悩まされている方に、消化器専門医として日々の診療で患者さんにお伝えしている効果的な食事法をご紹介します。
これらの方法は科学的根拠に基づいており、多くの患者さんの症状改善に役立っています。ぜひ毎日の生活に取り入れてみてください。
1. 少量頻回の食事スタイルに変更する
一度にたくさん食べると胃に大きな負担がかかります。食事の量を減らして、その分回数を増やすことで胃への負担を軽減できます。
具体的には、1日3食の大きな食事から、5〜6回の少量の食事に変更してみましょう。一回あたりの食事量は、両手を合わせたくらいの量を目安にするとよいでしょう。
2. 消化の良い食材を選ぶ
胃もたれを感じている時は、消化に負担のかかる食材を避け、胃に優しい食材を選ぶことが大切です。
- おすすめの食材:白米、うどん、豆腐、白身魚、鶏肉の胸肉、蒸した野菜、りんご、バナナなど
- 避けるべき食材:脂っこい肉、揚げ物、生クリームを使ったデザート、アルコール、カフェイン、炭酸飲料など
特に脂肪の多い食品は胃の中に長く留まるため、胃もたれを悪化させる原因になります。植物性たんぱく質や低脂肪の動物性たんぱく質を中心とした食事を心がけましょう。
3. 食事のタイミングを見直す
就寝直前の食事は胃もたれの大きな原因です。寝ている間は消化活動が低下するため、胃の中に食べ物が長時間残ってしまいます。
就寝の少なくとも3時間前には食事を終えるようにしましょう。また、朝食前に白湯を飲むことで、胃腸の動きを活性化させる効果が期待できます。
胃もたれを悪化させる食習慣と改善方法
日々の何気ない食習慣が、実は胃もたれを引き起こしている可能性があります。ここでは、胃もたれを悪化させる食習慣と、その改善方法についてご説明します。
4. 食事の食べ方を改善する
早食いは胃もたれの原因になります。食べ物を十分に噛まずに飲み込むと、胃での消化に負担がかかるためです。
一口あたり20〜30回を目安によく噛んで食べるようにしましょう。また、食事中の水分摂取も控えめにすることで、胃酸が薄まらず消化を助けることができます。
私の患者さんで、営業職の40代男性は、取引先との会食で早食いの習慣がありました。食事の際に意識して「一口30回噛む」ことを実践したところ、慢性的な胃もたれが改善したケースがあります。
5. 温かい食事を心がける
冷たい食べ物や飲み物は胃の血流を悪くし、消化機能を低下させます。特に胃もたれを感じている時は、常温か温かい食事を選ぶようにしましょう。
冷たい飲み物よりも白湯や温かいハーブティーを選び、冷たいデザートよりも温かいフルーツコンポートなどを選ぶと良いでしょう。
あなたは冷たい飲み物をよく飲みますか?
胃もたれを予防する食材と調理法
胃もたれを予防するためには、日々の食事で使う食材と調理法にも気を配ることが大切です。ここでは、胃に優しい食材と調理法をご紹介します。
6. 消化を助ける食材を積極的に取り入れる
消化酵素を含む食材や、胃腸の働きを整える食材を積極的に取り入れることで、胃もたれを予防できます。
- 消化酵素を含む食材:パイナップル、パパイヤ、キウイ、生姜など
- 胃腸の働きを整える食材:発酵食品(味噌、ヨーグルト、ぬか漬けなど)、食物繊維が豊富な野菜
特に生姜は胃の血流を改善し、消化を助ける効果があります。お茶として飲んだり、料理に取り入れたりすると良いでしょう。
7. 胃に優しい調理法を選ぶ
調理法によっても、食べ物の消化のしやすさは大きく変わります。胃もたれを予防するためには、消化に負担のかからない調理法を選びましょう。
- おすすめの調理法:茹でる、蒸す、煮る、軽く焼く
- 避けるべき調理法:揚げる、強火で炒める、燻製、漬け込み
例えば、同じ野菜でも生で食べるより茹でたり蒸したりすると消化が良くなります。また、肉類も脂を落として調理することで胃への負担を減らすことができます。
私の診療所では、胃もたれに悩む70代の女性患者さんに「夕食は蒸し料理中心にする」よう提案したところ、長年の胃もたれが改善したケースがありました。蒸し料理は素材の味を活かしながら、消化にも優しい理想的な調理法なのです。
胃もたれが続く場合の対処法と受診の目安
食事の改善を試みても胃もたれが続く場合は、何らかの消化器疾患が隠れている可能性があります。ここでは、胃もたれが続く場合の対処法と、医療機関を受診する目安についてお伝えします。
対処法と市販薬の活用
一時的な胃もたれであれば、市販の胃薬で対処することも可能です。消化酵素剤や胃粘膜保護剤などが含まれた胃薬を選ぶとよいでしょう。
ただし、市販薬はあくまで対症療法です。根本的な原因を解決するためには、生活習慣や食習慣の改善が不可欠です。
医療機関を受診する目安
以下のような症状がある場合は、消化器内科の専門医を受診することをお勧めします。
- 2週間以上胃もたれが続く
- 胃もたれに加えて体重減少がある
- 嘔吐や吐き気が強い
- 黒色便や血便がある
- 胃の痛みが強く、食事ができない
これらの症状は、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの可能性もあります。早期発見・早期治療のためにも、気になる症状があれば遠慮なく専門医に相談してください。
私たち消化器専門医は、内視鏡検査などを通じて正確な診断を行い、適切な治療を提供することができます。
胃もたれは体からのSOSサイン。軽視せず、適切に対応することが健康への第一歩です。
まとめ〜胃もたれ改善のための7つの食事法
胃もたれは食生活の改善によって大きく軽減できる症状です。今回ご紹介した7つの食事法を実践することで、胃もたれの改善と予防に役立てていただければ幸いです。
- 少量頻回の食事スタイルに変更する
- 消化の良い食材を選ぶ
- 食事のタイミングを見直す
- 食事の食べ方を改善する
- 温かい食事を心がける
- 消化を助ける食材を積極的に取り入れる
- 胃に優しい調理法を選ぶ
胃もたれが続く場合や、気になる症状がある場合は、消化器内科の専門医に相談することをお勧めします。内視鏡検査などの専門的な検査によって、胃もたれの原因を正確に診断し、適切な治療を行うことができます。
胃の健康は全身の健康の基盤です。日々の食生活を見直し、胃に優しい食事を心がけることで、快適な毎日を過ごしましょう。
胃もたれでお悩みの方は、千葉県八千代市の八千代緑が丘駅から徒歩1分の「浜野胃腸科外科医院」にお気軽にご相談ください。消化器疾患専門のクリニックとして、患者さん一人ひとりに合った診療を提供しています。
詳しい情報や予約方法については、浜野胃腸科外科医院の公式サイトをご覧ください。
著者プロフィール
浜野 徹也(はまの てつや)
現職
浜野胃腸科外科医院 副院長(2015年就任)
東京女子医科大学八千代医療センター 内視鏡科 非常勤講師
東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 非常勤医師
千葉県がんセンター 消化器内科 非常勤医師
研修・経歴
立川相互病院(初期研修)→東京女子医科大学八千代医療センター(総合救急診療科 → 内視鏡科)
その後、千葉県がんセンターなどで非常勤として消化器内視鏡診療に従事
専門・理念
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、
日本消化器病学会専門医、
日本内科学会認定医、
日本胆道学会認定指導医
「胃がん・大腸がんで亡くなる方をゼロにする」をミッションに掲げ、苦痛の少ない質の高い内視鏡検査の普及に努める
活動・社会貢献
20~30代を含む働き盛り世代や女性の大腸がん検診受診率向上にも注力。保育園との提携による検診の受診促進や、鎮静剤を用いた安心できる検査環境を提供
メッセージ
医師として「命を預かる責任」を、経営者としては「スタッフの生活を支える責任」を常に胸に刻み、「筋が通る人であり続ける」ことを信条に、日々成長を目指しています


