内視鏡検査大腸癌
大腸カメラは何年に一回?検査頻度の目安と適切なタイミング

大腸カメラ検査を受けるべき理由
大腸がんは日本において罹患率が高いがんの一つです。
食生活の欧米化や高齢化の進展と密接に関連していると考えられていますが、この病気には重要な特性があります・・・それは、比較的ゆっくりと進行することが多いという点です。
例えば、1cm程度の小さな大腸がんでは、他の臓器への転移は稀であることが知られています。
この緩やかな進行という性質こそが、早期発見の大きな機会を生み出します。
症状がないごく初期の段階で発見できれば、その後の治癒の可能性は非常に高まるのです。
大腸がんの治療成績は、発見時の進行度によって大きく異なります。
早期の段階である「ステージⅠ」で発見された場合の5年相対生存率は、95%以上と非常に高い数値を示しています。
この高い生存率は、早期に病変を発見し、適切な治療を行うことで、患者さんの生活の質を維持しながら、より侵襲の少ない治療で済む可能性が高まることを意味します。
一方で、がんが進行し、他の臓器に転移している「ステージⅣ」の場合、5年相対生存率は約18.8%と著しく低下してしまいます。
この数値の差は、症状が出てから発見される進行がんの予後が厳しいことを示しています。
症状がない段階での積極的な検査がいかに患者さんの命と健康に直結するかを明確に示しているのです。
大腸カメラは何年に一回受けるべきか
40歳からの検査開始が推奨される理由
大腸カメラ検査の頻度について、最もよくいただく質問です。
正直なところまだ答えが定まりきっておらず、国によって、医師によって言うことがバラバラなのが現状です。
ですが、基本的な考え方としては「**40歳で1回、その後は医師の指示通り(1~5年おき)**」と考えてください。
30代ではリスクが比較的低いため、便潜血検査を年1回行い、異常があれば内視鏡検査を受ける形でもよいでしょう。
ただし、大腸がんのご親戚がいる方や、気になる症状がある方は、30代から大腸カメラを勧められる場合もあります。
会社の健診の便潜血検査は35歳から行われることが多いですが、もし可能なら30歳から受けて欲しいところです。
40代が分岐点となる理由
40代で大腸カメラを受けるかどうかは一つの分岐点です。
なぜなら50~60代で若くして大腸がんになる方は、40代の時点で、すでに大腸がんの芽である「大腸ポリープ」を認めることが多いからです。
ですが、ほとんどの方はその事実を知らないため、ちょうど仕事や家庭や育児でお忙しい御年齢なこともあり、40代で大腸カメラをきちんと受ける方は少ないのが現状です。
40歳で1回大腸カメラを受け、その結果に応じて1~5年ごとの大腸カメラを受けましょう。
50代以降の検査頻度
50代以降になると大腸がんのリスクが大きく高まります。
全員が少なくとも5年に1回の大腸カメラが推奨されます。
過去に大腸ポリープがあった方、大腸がんや大腸ポリープのご親戚がいる方は、2~3年おきを目安にしましょう。
日本における便潜血検査による大腸がん検診の対象年齢は、国立がん研究センターや厚生労働省のガイドラインで「40歳から74歳」が推奨されています。
これは、公的な検診として最も推奨される年齢層を示しています。
ポリープが見つかった場合の検査間隔
ポリープの大きさと数による判断
大腸カメラ検査でポリープが見つかった場合、次の検査までの間隔は状況によって異なります。
日本消化器内視鏡学会のガイドラインによれば、以下の方は**1年後**に再検査が必要です。
- 大腸がんの内視鏡治療・外科治療を行った方
- 10個以上のポリープ(腺腫)を切除した方
- 20㎜以上の大きなポリープ(腺腫)の内視鏡治療を行った方
上記の基準に当てはまらなければ、多くの場合**3年後**の大腸内視鏡検査が勧められます。
ただし、小さなポリープ(低異型度の腺腫)を1~2個切除したのみであれば、**5年後**の大腸内視鏡検査でもよいとされています。
見落としのリスクと対策
重要な点として、大腸カメラ検査でも見落としがあることを知っておく必要があります。
現在の内視鏡医療でも大腸ポリープのすべてを発見するのは難しく、海外における研究では全大腸ポリープの22%が見落とされているというデータが出ています。
特に小さなポリープやヒダの裏にあるようなポリープは現在の内視鏡でも完璧な認識が困難です。
この「見落とし問題」は、学会でも常に重要なテーマとなっています。
今後は少しずつ見落とし率が低下していくことも予想されますが、大腸がんを未然に防ぐために患者様自身の心がけは依然として重要と言えます。
2~3年に一回大腸カメラ検査を受ける、便潜血検査と併用するといった取り組みで、大腸の様子を正確に把握しておくことが大切です。
出典
日本消化器内視鏡学会「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」
(2020年)より作成
家族歴がある場合の注意点
大腸がんのリスクは遺伝的要素によっても影響を受けます。
家族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる場合、ご自身のリスクも高まる可能性があります。
このような場合、通常よりも早い時期から、そしてより頻繁に検査を受けることが推奨されます。
具体的には、家族歴がある方は40歳より前から検査を開始し、検査間隔も2~3年おきとすることが望ましいと考えられています。
ご家族の中に大腸がんや大腸ポリープの方がいらっしゃる場合は、必ず医師にその旨をお伝えください。
個々の状況に応じた最適な検査スケジュールをご提案いたします。
高齢者の検査について
75歳以上の方への推奨
高齢者にとって大腸カメラは、体への負担や鎮静剤の使用が気になる検査かもしれません。
しかし、年齢とともに大腸がんのリスクは高まるため、検査の必要性はむしろ増していくというジレンマがあります。
日本における便潜血検査による対策型検診の終了年齢は、現在のガイドラインでは「**74歳が望ましい**」とされています。
この年齢で検診を終了することが妥当と判断された主な理由として、高齢者が検診や精密検査、さらにはその後の治療を受ける際に伴う偶発症や合併症のリスクを考慮する必要があるためと明記されています。
個別の健康状態に応じた判断
75歳以上でも、健康状態が良好であれば検査は十分に可能です。
ただし、高齢者は持病や服用中の薬があることが多いため、事前にしっかりと医師による評価が必要です。
検査準備(下剤など)についても、体調に合わせた調整が可能ですので、不安な点があれば遠慮なく医療機関にご相談ください。
当院では安心して検査を受けるためのサポート体制も整えています。
便潜血検査と大腸カメラの使い分け
便潜血検査の役割と限界
一般的に行われる便潜血検査は、大腸がんのスクリーニング(ふるい分け)として非常に有効です。
これは、症状がない方から大腸がんの可能性のある方を拾い上げる集団検診として広く実施されています。
便潜血検査免疫法は、大腸がんの死亡率減少効果を示す十分な科学的証拠があり、推奨グレードAとされています。
しかし、便潜血検査で陽性反応が出た場合、その原因を特定し、病気の有無を正確に診断するためには、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)が不可欠な精密検査となります。
大腸カメラ検査の優位性
大腸カメラ検査は、肛門から細い内視鏡を挿入し、大腸の内部を医師が直接目で見て詳細に観察できる唯一の検査です。
これにより、病変の有無、その範囲や深さまでを正確に把握することができます。
さらに、この検査の大きな利点は、検査中に良性のポリープやごく早期のがんが発見された場合、その場で同時に切除できる可能性があることです。
これにより、将来がんへと進行する可能性のある病変を未然に取り除き、治療と予防を兼ねる画期的な医療行為となります。
全大腸内視鏡検査は死亡率減少効果を示す科学的根拠はありますが、証拠の信頼性が低いことから、現状では対策型検診で実施しないことを推奨されています。
現在、国内外で全大腸内視鏡検査の有効性を評価するための無作為化比較対照試験が複数進行中のため、これらの研究結果が公表された段階で再評価が行われる予定です。
出典
国立がん研究センター「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」
(2024年度版)より作成
当院での大腸カメラ検査の特徴
患者さんの負担を軽減する工夫
当院では、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう、様々な工夫を行っています。
眠ってできる内視鏡検査、最新の機器を用いた検査、院内での下剤対応など、安全面・衛生面はもちろんのこと、患者さんの不安を取り除けるよう最善を尽くした内視鏡検査の環境を整えております。
特に下剤については、種類、服用の場所、飲み方を、ご要望に合わせてカスタマイズできる点が特徴です。
院内で下剤を飲むこともできますので、ご自宅での準備が不安な方も安心です。
豊富な実績と専門性
2024年の当院の実績として、内視鏡検査総数は4,497件、胃内視鏡検査2,613件、大腸内視鏡検査1,884件、大腸ポリープ切除術983件という数字があります。
また、2024年には食道/胃癌を23名、大腸癌を54名発見しています。
年々検査数は増加傾向にあり、2018年の内視鏡検査総数1,237件から大幅に増加しています。
消化器内視鏡専門医・指導医、消化器病専門医として、多くの方に質が高く苦痛の少ない内視鏡検査を定期的に受けてもらうことで、消化管癌の死亡率を低下させることを目指しています。
女性患者さんへの配慮
女性患者さんが安心できる女性医師による内視鏡検査も対応しています。
土曜日も内視鏡検査可能で、24時間ネット予約対応、胃・大腸カメラの同日実施可能、日帰りで大腸ポリープ手術可能など、患者さんのライフスタイルに合わせた柔軟な対応を心がけています。
予約診療制とすることで待ち時間の解消、院内の密状態回避・感染リスク軽減に努めていきたいと考えております。
まとめ
大腸カメラ検査は、大腸がんの早期発見・早期治療において非常に重要な役割を果たします。
基本的な検査頻度の目安は「40歳で1回、その後は医師の指示通り(1~5年おき)」です。
ポリープの有無や大きさ、家族歴などの個別の状況によって、適切な検査間隔は異なります。
50代以降は大腸がんのリスクが高まるため、少なくとも5年に1回の検査が推奨されます。
過去にポリープがあった方や家族歴がある方は、2~3年おきの検査が望ましいでしょう。
便潜血検査は有効なスクリーニング検査ですが、陽性の場合は必ず大腸カメラによる精密検査を受けることが重要です。
当院では、患者さんの負担を軽減する様々な工夫と、豊富な実績に基づく専門的な検査を提供しています。
ご自身の健康状態や家族歴に応じた適切な検査スケジュールについて、お気軽にご相談ください。
大腸がんは早期発見・早期治療ができれば根治が期待できる病気です。
定期的な検査で、健やかな毎日を送りましょう。
詳しい検査内容や予約方法については、浜野胃腸科外科医院の公式サイトをご覧ください。
24時間WEB予約も受け付けております。
著者プロフィール
浜野 徹也(はまの てつや)
現職
浜野胃腸科外科医院 副院長(2015年就任)
東京女子医科大学八千代医療センター 内視鏡科 非常勤講師
東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 非常勤医師
千葉県がんセンター 消化器内科 非常勤医師
研修・経歴
立川相互病院(初期研修)→東京女子医科大学八千代医療センター(総合救急診療科 → 内視鏡科)
その後、千葉県がんセンターなどで非常勤として消化器内視鏡診療に従事
専門・理念
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、
日本消化器病学会専門医、
日本内科学会認定医、
日本胆道学会認定指導医
「胃がん・大腸がんで亡くなる方をゼロにする」をミッションに掲げ、苦痛の少ない質の高い内視鏡検査の普及に努める
活動・社会貢献
20~30代を含む働き盛り世代や女性の大腸がん検診受診率向上にも注力。保育園との提携による検診の受診促進や、鎮静剤を用いた安心できる検査環境を提供
メッセージ
医師として「命を預かる責任」を、経営者としては「スタッフの生活を支える責任」を常に胸に刻み、「筋が通る人であり続ける」ことを信条に、日々成長を目指しています


