内視鏡検査生活習慣病
慢性的な胃もたれの原因と治療法〜専門医が教える改善のポイント

慢性的な胃もたれに悩んでいませんか
食後に胃が重く感じる。
いつまでも食べ物が残っているような不快感が続く・・・このような症状に悩む方は少なくありません。消化器内視鏡専門医として、慢性的な胃もたれは適切な診断と治療で改善できます。
胃もたれは、胃の中に食べたものがいつまでも残ったように感じる症状です。消化の悪いものを食べた後に一時的に起こることもありますが、慢性的に続く場合は胃の機能低下や自律神経の乱れ、あるいは何らかの疾患が隠れている可能性があります。
この記事では、慢性的な胃もたれの主な原因から効果的な治療法、日常生活での改善方法まで、消化器専門医の視点から詳しく解説していきます。
胃もたれの症状と特徴
胃もたれの症状は、単に「胃が重い」というだけではありません。
患者さんからよく聞かれる症状としては、胃がもたれる感覚、胃が気持ち悪い、膨満感がある、げっぷが出るなどがあります。食後2〜3時間が経過しても胃の不快感が続く場合、胃の機能に何らかの問題が生じている可能性が考えられます。
健常な方でも、食べ過ぎや消化の悪いものを食べた後に一時的な胃もたれを経験することはあります。しかし、慢性的な胃もたれの場合は、特に食べ過ぎたわけでもないのに症状が続く、あるいは少量の食事でも胃の不快感が生じるといった特徴があります。
また、胃もたれに伴って食欲不振が現れることも多く、これが続くと栄養状態にも影響を及ぼす可能性があります。胸やけやのどのつかえ感を同時に感じる方もいらっしゃいます。
症状が数週間以上続く場合や、日常生活に支障をきたすほどの不快感がある場合は、専門医による診察をお勧めします。
慢性的な胃もたれの主な原因
機能性ディスペプシアとは
内視鏡検査や血液検査で異常が見つからないにもかかわらず、慢性的に胃の不快症状を引き起こす状態を「機能性ディスペプシア」と呼びます。
この疾患は、胃に器質的な病変がないにもかかわらず、胃酸分泌の過多や胃の排出機能低下などの機能異常、あるいは粘膜の知覚過敏などによって、痛み・はり・もたれ・吐き気などが起こる状態です。ストレスや疲れ、不規則な生活などの外的要因で胃の動きをコントロールしている自律神経の乱れが生じたり、食事などで胃の粘膜に負担がかかることで胃が機能異常を来します。
同じようなストレス環境や生活環境にあっても症状を発症する方とそうでない方がいるのは、遺伝や胃の形の違い、胃内細菌叢などの体質的な要素も関わってきます。近年の研究では、胃内細菌叢が機能性ディスペプシアと関係していることが分かっています。
ピロリ菌感染による影響
ピロリ菌感染は、慢性的な胃もたれの重要な原因の一つです。
ピロリ菌が生成するアンモニアなどの有害物質が胃に影響を及ぼすことで、胃もたれなどの症状を引き起こします。ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍などを引き起こし、胃がんにも関連していることが判明しているため、検査を受けて感染が確認されたら除菌治療を受ける必要があります。
当院では内視鏡検査で組織を採取し、ピロリ菌感染の有無を確認しています。感染が確認された場合は、胃酸の分泌を抑える薬と抗菌薬を7日間服用する除菌治療を行います。除菌治療の成功率は100%ではないため、服用して6週間後以降に検査を受け、成功しているかどうかを調べます。
加齢による胃の機能低下
加齢とともに胃の機能は低下していきます。
食道から肛門まで食べ物を送る際、消化器官は蠕動運動を行います。しかし、加齢とともに食べ物を送る機能が低下し、胃に長時間食べ物が留まる場合があり、それによって胃もたれが引き起こされます。通常、食べ物が消化されるのに必要な時間は約2〜3時間程度ですが、胃が機能低下を起こすと食べ物を消化することが難しくなり、胃の中に長時間食べ物が溜まったままの状態になってしまいます。
運動不足も蠕動運動の機能を衰えさせる要因となります。適度な運動を日常的に取り入れることで、胃の働きを促進できます。
ストレスと自律神経の乱れ
胃の働きをコントロールしているのは自律神経です。
そのため、自律神経がうまく機能しなくなると、胃の機能低下につながります。現代社会ではストレスが多く、それが自律神経の乱れを引き起こし、結果として慢性的な胃もたれにつながることが少なくありません。
特に夏場は、暑さによる体のストレスや、冷房の効いた室内と屋外の暑さといった気温の寒暖差による自律神経の不調などにより、機能性ディスペプシアが起こりやすい時期でもあります。
女性の場合、女性ホルモンの影響で胃もたれを起こす可能性もあります。月経周期と胃もたれが起こる時期を比較して、症状が出やすい時期が判明したら、その時期には消化の良いものを少量だけ食べるといった工夫をすることで改善される可能性があります。
生活習慣による影響
寝る直前に食事をする習慣は、胃もたれの大きな原因となります。
人は眠っている間には消化機能がゆっくりになります。そのため、寝る直前に食べてしまうと、胃の中に長時間食物が残ってしまい、胃が荒れてしまう原因になります。就寝の数時間前に食事を摂ることを習慣化し、消化に良いものを食べることによって、慢性的な胃もたれを解消できるケースもあります。
また、暴飲暴食や消化の悪いものを頻繁に食べることも、胃に負担をかけ続けることになり、慢性的な胃もたれにつながります。
診断のための検査方法
問診と症状の詳細な把握
診察ではまず、詳しい問診を行います。
どのような症状なのか、胃もたれが起こるタイミング、どの程度の頻度で起こっているのか、既往症はあるのか、どのような薬を服用しているのかといったことを詳しくお聞きします。これらの情報は、胃もたれの原因を特定する上で非常に重要です。
胃もたれの場合、他の疾患が原因となっていることもあるため、症状の詳細を把握することで、必要な検査を適切に選択できます。
内視鏡検査の重要性
胃もたれの原因を特定するために、内視鏡検査は非常に有効です。
当院では、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう、眠ってできる内視鏡検査を提供しています。内視鏡検査では、胃の粘膜の状態を直接観察でき、炎症や潰瘍、腫瘍などの有無を確認できます。また、組織を採取することで、ピロリ菌感染の有無も調べられます。
2024年の当院の実績では、内視鏡検査総数4,497件、胃内視鏡検査2,613件を実施し、食道・胃癌を23名発見しています。内視鏡検査によって、胃もたれの原因となる疾患を早期に発見し、適切な治療につなげられます。
血液検査と腹部超音波検査
内視鏡検査に加えて、血液検査や腹部超音波検査も行います。
血液検査では、貧血の有無や肝機能、腎機能などを確認します。腹部超音波検査では、胆道や膵臓、肝臓などの臓器に異常がないかを調べます。これらの検査を組み合わせることで、胃以外の臓器の疾患が胃もたれの原因となっていないかを確認できます。
特に病気がみつからない場合、機能性ディスペプシアと診断され、生活習慣の改善や食事指導、薬物療法などの治療を行っていきます。
効果的な治療法
薬物療法の種類と効果
胃もたれの治療には、症状に応じた薬物療法が効果的です。
胃酸の分泌を抑える制酸剤、胃の粘膜を保護する粘膜保護剤、胃の動きを改善する機能改善薬などを使用します。胃もたれは、胃酸の分泌過多と胃の動きの低下のどちらでも生じえますが、胃酸を抑えすぎると消化力が落ちて逆にもたれ感が強まってしまうことがあります。
そのため、患者さんの症状や検査結果に基づいて、適切な薬を選択することが重要です。「もたれ」と「食欲不振」という症状で胃の動きの低下が考えられる場合は、動きを改善する機能改善薬を中心に処方します。
薬物療法だけでなく、規則正しい生活を送り、胃に負担をかけない食事を心がけることも大切です。
ピロリ菌除菌治療
ピロリ菌感染が確認された場合は、除菌治療を行います。
除菌治療は、胃酸の分泌を抑える薬と抗菌薬を7日間服用する方法です。1回目の除菌治療の成功率は100%ではありませんが、2回の除菌治療を受けた場合、ほとんどの方がピロリ菌消失に成功します。
除菌治療後は、6週間後以降に検査を受けて、除菌が成功しているかどうかを確認します。ピロリ菌の除菌に成功すると、胃もたれの症状が改善されるだけでなく、胃がんや胃潰瘍の予防にもつながります。
生活習慣の改善指導
薬物療法と並行して、生活習慣の改善も重要です。
食事は一度にたくさん食べず、少しずつ回数を多くすることが推奨されます。食べ物はよくかみ、唾液と混ぜ合わせて口の中で粥状にしてから飲み込むようにします。高たんぱく、低脂肪、低炭水化物の食事を心がけることも効果的です。
また、就寝の数時間前に食事をすませることが基本です。動物性脂肪や脂っこいもの、甘いものはできるだけ控えることが望ましく、香辛料の多用も避けます。ただし、あまり神経質になると食事自体がストレスになってしまうため、ほどほどを心がけることが大切です。
適度な運動の効果
胃の働きを促進するためには、適度な運動が必要です。
激しい運動をする必要はなく、いつもより長めに歩くようにするなどで十分です。運動によって血流が改善され、胃腸の蠕動運動も促進されます。また、運動はストレス解消にもつながり、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。
3食を規則正しくとり、できれば毎回30分程度の食休みをとることも大切です。しっかり眠ることも重要で、入浴時にゆっくり浴槽に浸かるのは、体を芯から温めてくれるので冷えの解消になります。体が冷えていると代謝が悪くなり、血流が不足するため、冷え対策も胃もたれの改善に役立ちます。
日常生活での予防と管理
食事のタイミングと内容
胃もたれを予防するためには、食事のタイミングが重要です。
暴飲暴食を避けることと、腹八分目を心がけることが基本です。就寝の数時間前に食事をすますことで、睡眠中の胃への負担を軽減できます。食事の内容については、消化の良いものを中心に選び、脂っこいものや刺激の強いものは控えめにします。
げっぷやガスが多い場合には、食物繊維をじゅうぶんにとることが効果的ですが、とり過ぎるとかえってげっぷやガスがたくさん出ることになってしまいますし、消化に時間がかかるものは胃もたれを起こしやすいので注意が必要です。
ストレス管理の重要性
ストレスは胃もたれの大きな要因です。
日常生活の中でストレスを完全に避けることは難しいですが、ストレスを軽減させるような工夫をすることで、胃の症状が楽になることもあります。趣味の時間を持つ、リラックスできる時間を作る、十分な睡眠をとるなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
また、ストレスを感じた時には、深呼吸をする、軽い運動をするなど、その場でできる対処法を持っておくことも有効です。
定期的な健康チェック
慢性的な胃もたれがある場合は、定期的な健康チェックが重要です。
当院では予防医療にも力を入れており、定期的な検診や人間ドックを通じて、患者さん自身が健康に関心を持ち、身体の状態と生活習慣を把握することで健やかな毎日を送れるよう支援しています。特に消化管(食道・胃・大腸)癌は早期発見・早期治療ができれば根治が期待できるため、質の高く苦痛の少ない内視鏡検査を定期的に受けることをお勧めしています。
症状が改善した後も、再発予防のために生活習慣の改善を続けることが大切です。
当院での治療アプローチ
患者さん一人ひとりに合わせた診療
当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活背景に合わせた診療を心がけています。
消化器内視鏡専門医・消化器病専門医として、豊富な経験と最新の知識に基づいた診断と治療を提供しています。内視鏡検査では、安全面・衛生面はもちろんのこと、患者さんの不安を取り除けるよう最善を尽くした環境を整えています。
眠ってできる内視鏡検査、最新の機器を用いた検査、院内での下剤対応、女性医師による女性患者向けの内視鏡検査、土曜日も検査可能、24時間ネット予約対応、胃・大腸カメラの同日実施、日帰りでの大腸ポリープ手術など、患者さんの負担を軽減する工夫を多数行っています。
予約診療制による待ち時間の解消
当院は予約診療制を採用しています。
予約診療制とすることで待ち時間の解消、院内の密状態回避・感染リスク軽減に努めています。24時間対応のWEB予約システムやLINEからの予約も可能で、患者さんの都合に合わせて受診していただけます。
遠方の方でも安心して内視鏡検査を受診していただけるように、院内で下剤が飲めたり、内視鏡検査の開始時間を来院しやすい時間帯にあわせて予約取得したりと工夫をしています。
充実した検査実績
当院の内視鏡検査実績は年々増加しています。
2024年には内視鏡検査総数4,497件、胃内視鏡検査2,613件、大腸内視鏡検査1,884件、大腸ポリープ切除術983件を実施しました。また、食道・胃癌を23名、大腸癌を54名発見しています。2018年の内視鏡検査総数1,237件から大幅に増加しており、多くの患者さんに信頼していただいています。
八千代市内だけでなく、佐倉市、船橋市、市川市、印西市、白井市、鎌ヶ谷市、千葉市、習志野市、四街道市、酒々井町、浦安市、成田市、東金市、松戸市、市原市、東京都江戸川区など、遠方からも多くの患者さんが来院されています。
まとめ
慢性的な胃もたれは、適切な診断と治療によって改善できる症状です。
機能性ディスペプシアやピロリ菌感染、加齢による胃の機能低下、ストレスと自律神経の乱れ、生活習慣など、様々な原因が考えられます。内視鏡検査や血液検査などで原因を特定し、薬物療法、ピロリ菌除菌治療、生活習慣の改善などを組み合わせることで、効果的な治療が可能です。
食事のタイミングや内容に気をつける、適度な運動を取り入れる、ストレス管理を行う、定期的な健康チェックを受けるなど、日常生活での予防と管理も重要です。症状が続く場合や日常生活に支障をきたすほどの不快感がある場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。
当院では、消化器内視鏡専門医として、患者さん一人ひとりに合わせた診療を提供しています。胃もたれでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
慢性的な胃もたれでお困りの方、詳しい検査や治療をご希望の方は、浜野胃腸科外科医院までお問い合わせください。八千代緑が丘駅から徒歩1分の好立地で、24時間WEB予約・LINE予約にも対応しています。
著者プロフィール
浜野 徹也(はまの てつや)
現職
浜野胃腸科外科医院 副院長(2015年就任)
東京女子医科大学八千代医療センター 内視鏡科 非常勤講師
東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 非常勤医師
千葉県がんセンター 消化器内科 非常勤医師
研修・経歴
立川相互病院(初期研修)→東京女子医科大学八千代医療センター(総合救急診療科 → 内視鏡科)
その後、千葉県がんセンターなどで非常勤として消化器内視鏡診療に従事
専門・理念
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、
日本消化器病学会専門医、
日本内科学会認定医、
日本胆道学会認定指導医
「胃がん・大腸がんで亡くなる方をゼロにする」をミッションに掲げ、苦痛の少ない質の高い内視鏡検査の普及に努める
活動・社会貢献
20~30代を含む働き盛り世代や女性の大腸がん検診受診率向上にも注力。保育園との提携による検診の受診促進や、鎮静剤を用いた安心できる検査環境を提供
メッセージ
医師として「命を預かる責任」を、経営者としては「スタッフの生活を支える責任」を常に胸に刻み、「筋が通る人であり続ける」ことを信条に、日々成長を目指しています


