内視鏡検査生活習慣病
胃もたれを改善する食事方法〜専門医が教える食生活のコツ

胃もたれの原因を正しく理解する
食後にみぞおちのあたりが重く感じる・・・
お腹が張って苦しい・・・
こうした胃もたれの症状は、多くの方が日常的に経験されているのではないでしょうか。私は消化器内視鏡専門医として、毎日多くの患者さんの胃もたれに関する相談を受けています。
胃もたれは、食べ物が胃の中に長く残っているような感覚です。消化の悪いものを食べた後に起こりやすいものですが、胃の機能低下や自律神経の乱れによっても引き起こされることがあります。
胃もたれの主な原因としては、以下のようなものが考えられます。
- 食生活の乱れ:食べ過ぎや飲み過ぎ、脂っこい食事、消化の悪い食べ物の摂取
- ストレス:精神的なストレスによる自律神経の乱れ
- 胃の機能低下:加齢や運動不足による胃の「蠕動運動」の低下
- ピロリ菌感染:胃炎や胃潰瘍の原因となる「ピロリ菌」の存在
- 消化器疾患:慢性胃炎、「機能性ディスペプシア」、胃潰瘍など
特に朝に胃もたれを感じることが多いのは、前日の夕食を食べ過ぎたり、就寝直前に食事をしたりすることで、胃の中に食べ物が残ったままになっているからです。
胃に優しい食材の選び方
胃もたれを改善するためには、まず消化に負担のかからない食材を選ぶことが大切です。
消化の良い食材とは、胃の中に長く留まらず、胃酸や消化酵素で分解されやすい食材のことを指します。
炭水化物は柔らかく調理したものを
炭水化物の中でも、うどん・そうめん・おかゆ・食パンなどは食物繊維が少なく、胃腸への負担が少ない食べ物です。特にうどんやそうめんは喉ごしが良く食べやすい特徴があります。ただし、ただ流し込むのではなく、よく噛むことで唾液の分泌を促し消化を助けることが大切です。
白米も比較的消化しやすい食べ物ですが、おかゆに比べると胃への負担は大きくなります。そのため、胃もたれを感じている時はおかゆを選ぶと良いでしょう。
たんぱく質は低脂肪のものを選ぶ
植物性たんぱく質を含む大豆製品の豆腐・納豆などは、胃腸の調子が優れない時に向いています。消化・吸収されやすいといわれているためです。
魚介類では、カレイやタラなどの白身魚は脂質が少ないとされています。煮付けや蒸し料理にするとさらに消化にいいでしょう。また、肉類では、鶏むね肉が低脂肪で消化されやすく、叩いたりミンチにしたりして柔らかくすると、より消化が良くなります。
野菜は繊維の少ないものを
大根・白菜・キャベツ・ほうれん草などは、繊維質が少なく消化酵素を含む、消化をサポートする食べ物です。これらの野菜は煮浸しや煮物のように柔らかく調理すると、さらに消化が良くなります。
また、りんご・バナナなどの果物も、消化を助けながら胃腸機能を整える働きがあります。
避けるべき食品と食習慣
胃もたれを改善するためには、胃に負担をかける食品を避けることも重要です。
脂肪の多い食品は控える
実は脂肪は、炭水化物やたんぱく質とは違って、口や胃では消化できない栄養素です。胃にスルーされた脂肪は十二指腸に送られます。そこで、脂肪を分解する強力な消化液・胆汁の力を借りながら消化されるのです。
十二指腸が脂肪を消化している間、胃は働くことができません。そのため動かない胃袋に食べ物がたまっていき、これが「胃もたれ」の原因になります。
脂っこい肉、揚げ物、生クリームを使ったデザートなどは、胃もたれを悪化させる原因になるため、症状がある時は避けましょう。
胃を刺激する食品に注意
辛い物や味の濃い食事は、胃を守ってくれるはずの粘膜を刺激してしまいます。胃もたれがある時には、胃酸の分泌を促す食べ物はなるべく避けましょう。
具体的には、とうがらし・わさびなどの辛いもの、漬物・塩辛などの塩味の強いもの、酢の物・柑橘類の果実などの酸味の強いものです。
飲み物についても、カフェインを含むコーヒー・紅茶・緑茶、炭酸飲料、アルコールなどの刺激が強いものは控えましょう。ノンカフェインの麦茶やルイボスティーなどがおすすめです。
食物繊維の多い食品も控えめに
食物繊維は、普段の食生活には積極的に取り入れたい栄養素です。しかし、胃腸で吸収されないという特徴があるため、胃もたれを感じている時は控えめにすることをおすすめします。
ごぼう・たけのこ・きのこなどの繊維質の多い野菜、イカ・タコなどの消化に時間がかかる魚介類は、胃もたれの症状がある時は避けた方が良いでしょう。
食事の食べ方を見直す
胃もたれを改善するためには、何を食べるかだけでなく、どう食べるかも重要です。
少量頻回の食事スタイルに変更する
一度にたくさん食べると胃に大きな負担がかかります。食事の量を減らして、その分回数を増やすことで胃への負担を軽減できます。
具体的には、1日3食の大きな食事から、5〜6回の少量の食事に変更してみましょう。一回あたりの食事量は、両手を合わせたくらいの量を目安にするとよいでしょう。
よく噛んでゆっくり食べる
早食いは胃もたれの原因になります。食べ物を十分に噛まずに飲み込むと、胃での消化に負担がかかるためです。
一口あたり20〜30回を目安によく噛んで食べるようにしましょう。また、食事中の水分摂取も控えめにすることで、胃酸が薄まらず消化を助けることが期待できます。
私の患者さんで、営業職の40代男性の方がいらっしゃいました。取引先との会食で早食いの習慣があったのですが、食事の際に意識して「一口30回噛む」ことを実践したところ、慢性的な胃もたれが改善したケースがあります。
温かい食事を心がける
冷たい食べ物や飲み物は胃の血流を悪くし、消化機能を低下させます。特に胃もたれを感じている時は、常温か温かい食事を選ぶようにしましょう。
冷たい飲み物よりも白湯や温かいハーブティーを選び、冷たいデザートよりも温かいフルーツコンポートなどを選ぶと良いでしょう。
食事のタイミングと生活習慣
胃もたれを予防するためには、食事のタイミングも重要です。
就寝前の食事は避ける
就寝直前の食事は胃もたれの大きな原因です。寝ている間は消化活動が低下するため、胃の中に食べ物が長時間残ってしまいます。
就寝の少なくとも3時間前には食事を終えるようにしましょう。また、朝食前に白湯を飲むことで、胃腸の動きを活性化させる効果が期待できます。
規則正しい食事時間を守る
不規則な食事時間は、胃の働きを乱す原因になります。できるだけ毎日同じ時間に食事をとることで、胃の働きが整い、胃もたれを予防できます。
ストレス管理も重要
ストレスは自律神経を乱し、胃の働きを低下させます。適度な運動や十分な睡眠、リラックスできる時間を持つことで、ストレスを軽減し、胃の働きを整えることが期待できます。
消化を助ける食材と調理法
胃もたれを予防するためには、消化を助ける食材を積極的に取り入れることも効果的です。
消化酵素を含む食材を活用する
消化酵素を含む食材や、胃腸の働きを整える食材を積極的に取り入れることで、胃もたれを予防できます。
パイナップル・パパイヤ・キウイ・生姜などは消化酵素を含む食材です。特に生姜は胃の血流を改善し、消化を助ける効果があります。お茶として飲んだり、料理に取り入れたりすると良いでしょう。
また、味噌・ヨーグルト・ぬか漬けなどの発酵食品は、胃腸の働きを整える効果が期待できます。
胃に優しい調理法を選ぶ
調理法によっても、食べ物の消化のしやすさは大きく変わります。胃もたれを予防するためには、消化に負担のかからない調理法を選びましょう。
おすすめの調理法は、茹でる・蒸す・煮る・軽く焼くなどです。油を使わない調理法を選ぶことで、胃への負担を減らせます。
食材は小さく切り、柔らかく調理することで、さらに消化しやすくなります。
症状が続く場合は専門医に相談を
食事方法を改善しても胃もたれが続く場合は、何らかの消化器疾患が隠れている可能性があります。
慢性胃炎、「機能性ディスペプシア」、胃潰瘍、逆流性食道炎などの疾患は、適切な検査と治療が必要です。
当院では、内視鏡検査による正確な診断と、患者さん一人ひとりに合わせた治療を行っています。2024年には胃内視鏡検査を2,613件実施し、食道・胃癌を23名発見しました。
胃もたれが2週間以上続く場合、体重が減少している場合、黒い便が出る場合などは、早めに消化器専門医を受診することをおすすめします。
出典
浜野胃腸科外科医院「胃もたれ改善に効果的な食事方法〜消化器専門医が教える7つの対策」
(2025年10月)より作成
まとめ
胃もたれを改善するためには、消化に優しい食材を選び、食べ方を工夫することが大切です。
うどん・おかゆ・豆腐・白身魚などの消化の良い食材を中心に、よく噛んでゆっくり食べることを心がけましょう。脂っこい食事や刺激の強い食品は避け、温かい食事を規則正しい時間にとることも重要です。
また、就寝前の食事を避け、ストレス管理にも気を配ることで、胃の働きを整えることが期待できます。
これらの食生活の改善を実践しても症状が続く場合は、消化器専門医による検査を受けることをおすすめします。早期発見・早期治療が、健康な胃腸を保つ鍵となります。
胃もたれでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。浜野胃腸科外科医院では、消化器内視鏡専門医による丁寧な診察と、最新の内視鏡検査で、皆様の胃腸の健康をサポートしています。
著者プロフィール
浜野 徹也(はまの てつや)
現職
浜野胃腸科外科医院 副院長(2015年就任)
東京女子医科大学八千代医療センター 内視鏡科 非常勤講師
東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 非常勤医師
千葉県がんセンター 消化器内科 非常勤医師
研修・経歴
立川相互病院(初期研修)→東京女子医科大学八千代医療センター(総合救急診療科 → 内視鏡科)
その後、千葉県がんセンターなどで非常勤として消化器内視鏡診療に従事
専門・理念
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、
日本消化器病学会専門医、
日本内科学会認定医、
日本胆道学会認定指導医
「胃がん・大腸がんで亡くなる方をゼロにする」をミッションに掲げ、苦痛の少ない質の高い内視鏡検査の普及に努める
活動・社会貢献
20~30代を含む働き盛り世代や女性の大腸がん検診受診率向上にも注力。保育園との提携による検診の受診促進や、鎮静剤を用いた安心できる検査環境を提供
メッセージ
医師として「命を預かる責任」を、経営者としては「スタッフの生活を支える責任」を常に胸に刻み、「筋が通る人であり続ける」ことを信条に、日々成長を目指しています


