<感染性下痢症>
急性の下痢は、90%以上が感染に由来するものと言われています。多くの場合が以下に挙げるウイルスによるものと、細菌によるものに大別されます。
★ウイルス性
ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなど 人から人への感染が多いです。
通常、放っておいても数日〜1週間程度で軽快します。医療機関においても特効薬は存在せず、プロバイオティクス製剤(整腸剤)や吐き気止めなど、対症療法が治療の中心になります。
ウイルス性腸炎で注意すべき点は、激しい嘔吐・下痢により脱水になってしまわないようにすることです。水分が摂取できているかが大切で、尿量(おしっこの量)を注意深く観察していただき、尿量が少ないようでしたら点滴による水分補給が必要となります。
★細菌性
病原性大腸菌、サルモネラ、キャンピロバクターなど 肉の生焼けや古い食べ物の摂取(いわゆる食中毒)などが原因になることが多いです。よく焼いたものでも、細菌の付着した手やトングなどから食物に付着することにより感染することも多くありますので、調理の配布時や食事前には、よく手を洗うようにしましょう。これらの感染症では、粘血便や緑黒色便、米のとぎ汁様の便など、水状の下痢便だけでない特徴的な便が排泄されますので、便の状態や回数などをよく観察することが大切です。また、免疫力の弱いお子さんやお年寄りでは、重篤な状態となることがありますので注意が必要です。
また、時折これら感染性下痢症がきっかけとなって過敏性腸症候群を発症し、下痢症状が長期化してしまうことがあります。